結婚式の準備を進める中で、会場やドレス、装花には時間をかけたのに、音楽は最後に決めるもの。そんなイメージを持っていませんか。
もちろん、好きな曲を流すことは素敵です。ふたりの思い出が詰まった曲や、何度聴いても心が弾む曲には、ほかの音楽では代えられない価値があります。
ただ、同じ曲でも、流れる場所やタイミング、前後の音楽によって、その印象は驚くほど変わります。結婚式のBGMは「好きな曲のリスト」であると同時に、目の前の空間やゲストの気持ちをデザインする手段でもあるのです。
2026年の結婚式。定番曲を選ぶだけでは、もったいない
2026年に発表されたアニヴェルセルの調査では、2025年に結婚式を挙げた3,400組以上のBGMを集計し、総合1位はBruno Marsの「Marry You」でした。多くの人に愛される楽曲が、今も大切な場面を彩っていることが分かります。
定番曲が悪いわけではありません。知っているメロディーが会場に一体感を生むこともあります。一方で、人気ランキングを上から順番に選んだだけでは、ふたりがこだわって選んだ空間や装いとの相性までは考えられません。
音楽選びの出発点を「何を流したいか」から「どんな時間をつくりたいか」へ。そこを変えるだけで、選曲の可能性はぐっと広がります。
会場、ドレス、装花。目に見える情報は、音楽を選ぶヒントになる

例えば、自然光が差し込む会場。やわらかな白い花、風を含むようなドレス、木の質感が心地よいインテリア。ここに軽やかなインディーポップを重ねれば、肩の力が抜けた親密な時間になるかもしれません。
同じ会場でも、輪郭のあるモダンジャズを重ねれば、都会的で洗練された表情に。ゆったりとした弦楽器やピアノを選べば、静けさと余韻を感じる空間にもなります。
つまり、会場の写真だけで「この曲」と決めるのではありません。建築、光、色、花材、衣装、時間帯、ゲストとの距離感。それらを手がかりに、音楽でどんな印象を引き出すのかを考えます。
そして忘れてはいけないのが、ふたりの好みです。音楽のためにドレスや装花を変える必要はありません。大切に選んだものを、音楽がさらに魅力的に見せる。そんな関係を目指したいのです。
入場曲は「盛り上がる曲」だけが正解ではない
「入場は盛り上がる感じで」。よくあるご希望です。でも、ここで少し想像してみてください。
扉が開いた瞬間、ふたりはどんな表情で立っているでしょうか。ゲストには、驚いてほしいですか。思わず微笑んでほしいですか。それとも、息をのむような美しさを感じてほしいでしょうか。
華やかさにも、いろいろな形があります。大きなビートで一気に会場を沸かせる華やかさ。軽やかなリズムで自然に笑顔が広がる華やかさ。静かなイントロから音が開けていく、映画のワンシーンのような華やかさ。
選曲では、曲のタイトルだけでなく、イントロの長さ、歌い出し、サビの位置、扉を開くタイミング、歩く速度、司会者のコメントまで考えます。曲そのものが素晴らしくても、場面に合った使い方ができなければ、魅力が十分に伝わらないこともあるからです。
歓談BGMこそ、空間の印象を左右する

入場やケーキ入刀などの演出曲にはこだわっても、歓談中のBGMは「おまかせ」にする。決して珍しいことではありません。
けれど、披露宴の中でゲストが食事を楽しみ、会話を交わし、会場の雰囲気をゆっくり味わう時間は、とても大切です。大きな演出がない時間だからこそ、音楽が空間の背景として働きます。
例えば、会話を邪魔しない音量でも、リズムの質感や音色によって、レストランのような親密さ、ラウンジのような都会的な雰囲気、陽だまりのような心地よさをつくり分けられます。
さらに、迎賓から入場、乾杯、歓談、お色直し、手紙、送賓へと続く一日の流れには、緩急が必要です。ずっと盛り上がる曲ばかりでは疲れてしまいますし、静かな曲ばかりでは大切な場面の輪郭がぼやけてしまいます。
音楽を一曲ずつ選ぶだけでなく、時間全体の温度を設計する。それが、BGMを「空間演出」として捉える理由です。
「ふたりらしさ」と「統一感」は、両立できる
好きなアーティストが違う。思い出の曲はジャンルがばらばら。そんなおふたりも少なくありません。でも、無理に同じジャンルに揃える必要はないと考えています。
大切なのは、楽曲同士を機械的に似せることではなく、それぞれの場面で音楽が担う役割を整理すること。思い出の曲を主役にする時間があってもいいし、ふたりがまだ知らない音楽で、会場の新しい表情を引き出す時間があってもいい。
例えば、迎賓は心地よいジャズ、入場は繊細なポップス、乾杯は少し遊び心のある曲、歓談は現代的なソウル。ジャンルが違っていても、音の質感やテンポ、場面の移り変わりを丁寧に考えれば、一日を通した自然な物語にできます。
「結婚式らしい曲」にこだわりすぎなくても大丈夫です。むしろ、ふたりの感性を素直に反映した選曲が、その日ならではの世界観をつくることもあります。
選んだ曲を、当日きちんと届けるために
選曲が決まったら、それで終わりではありません。会場の音響担当者や司会者に、どのタイミングから再生するのか、どの場面で音量を変えるのか、どの部分を使うのかを正確に共有する必要があります。
また、結婚式で使う音源は、利用方法によって確認すべき権利や手続きが異なります。会場での再生、CD-Rなどへの複製、プロフィールムービーへの収録などは、同じ扱いとは限りません。好きな曲が見つかった段階で、会場の運用ルールや必要な手続きを確認しておくことが大切です。
My sound concierge for weddingでは、音楽の方向性を考えるだけでなく、当日の進行と音響オペレーションを見据えたBGMチャートづくりも大切にしています。美しい選曲を、実際の美しい時間へつなげるためです。
まだ1曲も決まっていなくても、大丈夫
結婚式の音楽を考えるとき、最初から曲名をたくさん用意する必要はありません。
選んだ会場のどこが好きなのか。ドレスのどんなところに惹かれたのか。装花にはどんな色や質感を求めているのか。ゲストとどんな距離感で過ごしたいのか。そして、結婚式が終わったあと、どんな一日だったと思い返したいのか。
そんな対話の中から、音楽の方向性は少しずつ見えてきます。
音楽はもっと自由に。もっとわがままに、自分らしく。
見えるものにこだわって選んだ一日を、聴こえるものまで含めて完成させる。My sound concierge for weddingは、そのための音楽設計をご提案しています。
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参考資料:アニヴェルセル 2026年結婚式BGMランキング/ゼクシィ 2026年結婚式BGM特集/日本レコード協会「ブライダルシーンにおける音楽利用と著作権」
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